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宮沢賢治の世界を覗くなら、パロル舎の絵本を、ぜひ。
第13回宮沢賢治賞を受賞した小林敏也の一連の絵本はこちら。


宮沢賢治物語 〜デラシネの詩人の世界へ

 宮沢賢治は言葉を形而上学にまで高めようと研鑽した作家で す。

 しかし彼のつむぎ出すイメージは彼自身ももてあますほどに 豊饒で、それを表現するのに日本語の語彙だけではまかなえき れず、エスペランティックなもの謂いを用いたり、奇異な造語 、化学用語や方言などを破天荒に駆使してそれらを音楽的に異 化させ、映像的に浮揚させ、フュージョンとして完成させた先 駆者と言えるでしょう。

 童話であり、詩であり、純文学であり、しかしそういった評 論的な分類のどのカテゴリーにもおさまらない彼の作風は、か つての後期印象派とよばれる画家たちが生前認められなかった ように同時代性をかちえぬまま、柩を蔽ったのちに脚光を浴び ることになりました。

 デラシネの詩人は、かりそめに根づいたそんな郷土を、イー ハトヴォーという異郷になぞらえて、新種の華を栽培したので す。

 時空を超えて、第13回宮沢賢治賞を受賞した小林敏也の一連 の絵本は一冊の本のなかに、そうした賢治の言葉をおぎなって あまりある情景を、画家の眼から表現しようとしたものです。 それは埋め合わせでは決してない、賢治の内面世界の光と闇が 一層不条理なものとして完成されているという意味に於いてで す。

 絵本的とか、文学的とかいった、分け隔てのない読み方、見 方をして戴きたい。つまり、それこそが賢治的な座標軸であり 、それを選ぶのは読者である皆様の、現在に於ける価値観なの ですから。

 その表現世界を賢治に見せてあげたかった。
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